ギタリストなら知ってるべき定番ギターアンプ
魅力的なアンプをいっぱい知っておくに超したことはありませんし、ギタリストとしての個性はアンプが半分を占めると言っても過言ではありません。
エレキギターを買うときについてきた小さいアンプは練習用には最適ですが、いずれはもっと良いアンプが欲しくなるでしょう。でもどのアンプを選べばいいか分からん!
スタジオ控え室でギタリストどうしの何気ない会話で「?」とならないようにアンプの知識が必要です。
そういうわけでギターアンプ図鑑!ここでは筆者の独断と偏見に基づいて、様々なアンプメーカーの有名ギターアンプの特徴や個性を説明します。
そんな高級なでかいアンプばっかり説明されても買えないよ、という声が聞こえてきそうです。でもメーカーは音の傾向を持っていて、小型アンプなどもそのメーカーの有名モデルを真似て(目指して)作っているので、好みのアンプを見つけることはいいことです。
そしていろんなギターアンプを良く知ってると女の子にモテます。ええ。特にメタル女子です。メタル女子にモテるための必殺アンプも紹介しましょう。
ちなみにあくまで初心者の方向けなので細かい歴史や構造などは説明しません。
さっそくいきましょう!
マーシャル Marshall
アンプと言ったらこれ!というほど超有名なイギリスのギターアンプメーカーですね。
ジミ・ヘンドリックス、レッド・ツェッペリン、クリーム、みんな使ってます。
数多くのミュージシャン達が愛用しているから好きという人もたくさんいますが、スタジオに入って初めて使う真空管アンプがマーシャルだからということで、真空管アンプのすごさに衝撃を受けて「アンプといえばマーシャル」というイメージが付く人も多いでしょう。
ほんとうにどこのスタジオに行っても置いてあります。マーシャルの音が好きな人は良いですが、あまり好みでない人はいつも苦心していますね笑
<代表機種>
JCM2000
<音の特徴>
王道の歪み、腹の底まで響く低音が人気の秘密です。
歪み方は荒々しく、突き刺さるような高音もあってドンシャリと言われているのをよく見かけます。
ただ、使い方やアンプの状態などで音がかなり変わるようです。
ちょっとプレゼンスやハイを控えめにしておいたほうが、聴く人に心地よい音を作れますね。
歪みの有名なアンプですがクリーンも綺麗です。音圧のある低音とメリハリのある高音が、すごくパンチがあるクリーンを奏でますよ。
<オススメの組み合わせ>
Gibson レスポール
Fender テレキャスター
フェンダー Fender
泣く子も黙る、というか世界中のオヤジが泣いて喜ぶフェンダーアンプです。煌びやかで明るいクリーントーン、カラッと乾いてブルージーなクランチ。そんなようなものがフェンダーアンプの良さと言われています。
エリック・クラプトンなども使用するメーカーで、コンボタイプ(アンプとスピーカーが一体になったもの)をたくさん作っています。
小型なものから大型なものまでありますが、フェンダーの良いところは「大きいのが良くて小さいのは妥協」ではなく、「それぞれ違った個性を持っている」ことだと思います。だから真空管モデルのどのアンプを買っても満足しちゃうわけです。
<代表機種>
’65 TWINREVERB
<音の特徴>
実際フェンダーアンプのクリーンが非常に美しく、これにリバーブをかけたいと思うのはごくごく自然、そしてその自然な流れで生まれた傑作アンプが代表機種のツインリバーブです。かなり多くのスタジオに置いてあります。
ただし!真空管アンプ全体に言えることかもしれませんが、このツインリバーブは特に楽器の善し悪しが音に直結しやすい印象があります。良いギターだと良い音になるけど、あまり良くないギターだとバリバリとした固く電子的な部分がちょっと目立ってしまうのではないでしょうか…。
もしこのアンプが好きだけどギターのグレードが…という人がいたらピックアップだけでもFender製のものなどに変えてみると、グンと相性が良くなるはずです。
あとはギターのセッティングで音に変化を付けることができます。
使うピックアップ、弾く位置、そんなのを意識して楽しいアンプです。
<オススメの組み合わせ>
Fender ストラトキャスター
Fender テレキャスター
ボックス VOX
ブリティッシュを語るには欠かせない、ビートルズが使用したVOXアンプ。
クラシカルな外見と、それに似合う音が今でも人気で、筆者も個人的にすごく好きです。最初に買った真空管アンプがAC15でした。
スタジオなどに置いてあることはそれほど多くありませんが、コンパクトな15Wや30Wの真空管アンプが主力で、値段も他に比べると安めからあるので、近所をあまり気にしなくていい人は買っちゃうのもおすすめ。
王道ブリティッシュバンドも、変人系のバンドも御用達。
<代表機種>
AC30
<音の特徴>
歪ませないときにはとてつもなくクリーンで、鏡のようなサウンドを持っています。真空管は歪むまでは非常にハイファイだといわれていますが、まさにそうなんだなあと感じる瞬間です。
純正でトレモロが付いていまして、これもまた美しい。VOXのアンプと空間系(リバーブやコーラス、トレモロなど)のエフェクターは相性が良いですが、これはもうVOXが狙っているとしか思えません。
歪んでいくときは英国紳士のようにジェントルに。ロンドンはあんましジェントルな街じゃないですね。
歪みはウォームで温かく、なんとも粘っこい。
粘っこいという表現は実際聴いてみないと理解できないと思います。聴けば思うでしょう。粘っこい。
<オススメの組み合わせ>
Gibson ES-335
VOX セミホロウ
オレンジ ORANGE
続けてきましたブリティッシュアンプ。
明るいオレンジの外装とホワイトのパネル、可愛らしい操作パネルのイラストやorangeの文字と、格式高いイギリスらしいロゴ。何をとってもお洒落なアンプです。
U2、オアシス、エアロスミス、椎名林檎などが使う地味有名なアンプ(?)。独特の色づけがされた音で、クリーンを聴いてもディストーションを聴いてもなんとなくオレンジっぽさがあります。
オレンジのアンプを楽しむのに、個人的にオススメなアーティストはtoe。ギターアルペジオがメインのインストバンドで、アンプの良さが非常に際立ってます。
<代表機種>
ORANGE ROCKERVERB
<音の特徴>
枯れたような渋い高音を持ちながら、ミドルや低音は甘い。
そんなクリーンが非常に病み付きになります。また、歪む直前の飽和したクリーンはタイト&スイートでジャリッとした独特な”あたり”をもつ音です。これがまた最高に心地いい、と思う人もいます。
筆者はけっこう好きですが、マーシャルを使っている知人は高音がちょっと抜けきらないというか籠ったような感じがすると言ってました。これは好みの問題ですね。
歪みは荒々しくメタルまで歪みますがしっかりと芯があり、なぜか冷たくない。メロディアスパンクや、ポップパンクなんかのリフで使うとかなりかっこいいんじゃないでしょうか。
<オススメの組み合わせ>
Gibson レスポール
Fender ジャガー
メサブギー Mesa/Boogie
来ました、筆者が大好きなメサブギー。
自分はミニレクチを気に入って買いました。何を隠そう、Linkin Parkの信者で、Hoobastankのファンで、Good Charlotteを聴いて育ち、Foo Fightersで通学した人間です。
ラウドやヘビーをやっているロックギタリストでこの銀のダイアモンドプレートを知らない人はいないでしょう。現代ラウドロックやミクスチャーに、パンク、フュージョン、そして往年のブルースに、あらゆるジャンルにファンを作ったメサブギー。
強烈なディストーションサウンドが有名ですが、実はクリーンやクランチもすごく綺麗。
<代表機種>
Mesa/Boogie Dual Rectifier
<音の特徴>
90年代ラウド界のアーティストなら一度は憧れた「レクチ」と呼ばれるアンプです。これを持っていればエフェクターはいらない、っていう歪みです。是非ハムバッカーのギターと組み合わせて大音量でならしましょう。ときどきスタジオでレンタルしているところがありますので、狙って行くと良いです。メサは聴くというより体感する歪みだと思います。
私の話で申し訳ありませんが、このレクチを使っていたとき、サビでチャンネルを変えて現れるこのディストーションをバンドメンバーが「捕食ディストーション」と呼びました。まさに、気をつけないとバンドを捕食してしまいます。
また、先ほども言いましたようにクリーンやクランチもすごく綺麗です。これはミニレクチの話ですが、あるときスタジオでマーシャルのキャビネットにつなげて目一杯GAINを抑えたクリーンな音を使っていたら、後でスタジオの人に「えらく綺麗なクリーンだったけど、何のアンプなの!?」と聴かれてニヤニヤでした。
皆さんも是非レクチ買ってニヤニヤしましょう。
<オススメの組み合わせ>
PRS 全機種
Gibson レスポール
ピーヴィー Peavey
かのヴァン・ヘイレンで有名なPeaveyアンプです。ハイゲインアンプとしてメサブギーと並べられたりしますが、ちょっと傾向が違います。こっちはなんといってもヴァン・ヘイレンばりの超ロングサスティンなギターソロや、ピッキングハーモニクス、ズクズク刻むリフに最適ですね。
<代表機種>
6505
<音の特徴>
荒々しいというよりは圧巻の迫力で、粘り強く伸びる高音が特徴的な歪みです。ハーモニクスの効いた鼻にかかったような感じもあって妙に心地が良いですね。
ギターのピッキングに対するレスポンスが良くて、どんな早弾きでも潰れずに一つ一つの音がくっきりと立つし、繊細なピッキングももれなく再現してくれます。
クリーンは癖がなく、パンチのあるサウンドで、Can’t Stop Lovin’ youのような彼のバラードを支えてます。鐘のようなチャリーンという音がして銀色っぽいトーンです。
音に関してはもう、ヴァン・ヘイレンを聴いてください。
<オススメの組み合わせ>
Peavey Wolfgang
CHARVEL EVH
エングル ENGL
リッチーブラックモアが愛したこのアンプメーカー。
ドイツ・ザルツブルクで生まれた会社と書いてあったので、モーツァルトの生まれたあのザルツブルクとは違うのかもしれません。
どちらにしても、オーディオ関係といったらドイツ!
シュア、ゼンハイザー、ノイマン、勢揃いです。ちなみにBMWのハイファイオーディオなんかもやっぱりかなりレベル高いです。
<代表機種>
RITCHIE BLACKMORE SIGNATURE
<音の特徴>
取り立ててリッチーブラックモアのファンというわけではありませんが、このアンプはすごいです。まずそのキャビネットの重さ。一見小さめの外見なのに、マーシャルのキャビネット2個分くらいの重さがあります。
というのも、しっかりと質量のある素材でキャビネットを作り、スピーカーを包むことで音圧を前方に集中させる企みだとか。なるほど、マッシブで強烈な音圧です。4メートルくらい吹き飛ばされる音圧ですね。
クリーンはパンチがありますが、それでいて美しい音色です。素直で色づけがない音ですが、聴いているとすごく深みがあってしっかりとしている。
歪みはもう絶品です。荒い芯のある音+粒の揃った倍音のザクザクとしたディストーションが気持ちよすぎて毎日弾いていたくなります。毎日弾いてます。これ使い始めて、めっきりエフェクターを使わなくなりました。
良いギターに、良いケーブル、そしてENGL。これは数多く存在するディストーションサウンドの中の、一つの完成形だと思います。
<オススメの組み合わせ>
Fender ストラトキャスター
PRS全機種
ヒュース&ケトナー Hughes&Kettner
こいつです。こいつを持っているとメタル女子にモテます。異論は受け付けますが、とりあえずこいつにしましょう。
そういうわけで、さすがに長くなってきたので最後にします。
ヒュース&ケトナーもまたドイツのメイカーで、ハイゲインアンプを製造しています。かなり高級なアンプが多く、どのアンプも本当に上質です。ニュアンスを楽しみたいのであればBlue Editionなんかは良いかもしれません。デジタルで、ちょっと芯の無いディストーションですが雰囲気は似ていると思います。
<代表機種>
Triamp
<音の特徴>
もうヒューケトと言ったらコレでしょう。透明なヘッドパネルが妖しく青に光り、その奥で真空管が赤く光る。ヒューケトの文字がそこに浮かび上がる。
これを中学生のとき楽器屋で初めて見たときの衝撃といったら…。ちなみにPRSのSEを試奏しに行ったときこのアンプで弾いて「PRS SEすげー!」と思って後にSE購入しましたが、完全にアンプに騙されてました笑 もちろんSEは好きですが、このアンプはそれだけすごいということです。
まずザーっという感じの心地よいディストーション。めちゃくちゃ歪んでるのにこんなに心地よいディストーションてなかなか無いんじゃないでしょうか。包み込むような低音、それをサポートする中音域、そして激しくタイトでありながらも心地よい高音。これらが組み合わさって、上質な凶悪ディストーション←を生み出してます。
例えばメタルなギター+ポップみたいな新しいジャンルに挑戦したいとき、このアンプはピッタリだと思います。
またクリーンも綺麗です。VOXの音をもう少し豊かにして、鏡から奥行きのあるガラスになったような綺麗さなんて言ってみたりします。要するにすごく綺麗だということです。
クランチはまとまりがあって、コード弾きをすると良い意味で落ち着いてくれます。
<オススメの組み合わせ>
Gibson レスポール
Fender ストラトキャスター